莉乃と翔が正式に付き合い始め、学園の誰もが二人を祝福していた。しかし、その光景を笑顔の裏で、死ぬほど切ない思いで見つめる瞳があった。莉乃の親友、寧々だ。 寧々は、莉乃の恋を応援し続けてきた。けれど、蓮が莉乃のために必死に走り回り、そして破れ、ボロボロになっていく姿を一番近くで見ていたのは寧々だったのだ。 「蓮くん、またそんなところで一人で・・・・・・」 秋の冷え込む図書室の隅で、蓮を見つけるのはいつも寧々の役目だった。 「寧々か。・・・・・・悪いな、いつも。俺、まだ上手く笑えないんだ」 「・・・・・・いいよ。無理に笑わなくて。私が、蓮くんの隣にいるから」 寧々は知っていた。蓮がまだ、時折莉乃を目で追っていることを。そして自分は、蓮にとって「親友の親友」でしかないことを。 それでも、運が傷ついた心を引きずっているのを見るのは、自分の心が引き裂かれるより辛かった。 ある冬の夜。帰り道、公園のベンチで落ち込む蓮に、寧々はマフラーを貸した。 「蓮くん。世界中で一番、蓮くんが頑張ったこと、私は知ってるよ。・・・・・・私だけは、ずっと蓮くんの味方だから」 寧々の声は微かに震えていた。好きだと言ってしまえば、この関係すら壊れてしまう。 けれど、溢れ出しそうな「好き」の気持ちを、寧々は冷たい冬の空気に溶かすように、ただ蓮の背中を優しく叩き続けた。
