四色の糸が解けるまで

季節は巡り、2025年の春。最上級生になった4人は、進路という現実を前にしていた。翔の告白に近い引き止めから数ヶ月。莉乃と翔の間には、幼馴染という言葉では説明できない、熱を帯びた空気が流れていた。 しかし、蓮は諦めていなかった。彼は誰よりも 「莉乃が翔を想っていること」を理解しながらも、自分の想いに嘘をつけなかったのだ。 「翔がようやく気づいたからって、俺が譲る理由にはならない」 夏の日の放課後、夕立が校庭を叩く中、蓮は莉乃を屋上に呼び出した。 「莉乃、俺は君を誰よりも一人の女性として大切にしたい。翔がまだ迷っているなら、俺と一緒に来てほしい。卒業したら、東京の大学へ行こう」 蓮の言葉は、未来を約束する強さに満ちていた。 その場に駆けつけたのは、ずぶ濡れの翔だった。 「蓮、やめろ・・・・・・。莉乃は、俺が守るって決めたんだ」 「守る? お前は今まで莉乃の涙にさえ気づかなかったじゃないか!」 二人の親友が、一人の少女を挟んで火花を散らす。莉乃は震える声で、ずっと胸の奥に閉じ込めていた答えを口にした。 「蓮くん、ごめん・・・・・・。蓮くんが私を『女の子』にしてくれた。それは本当に嬉しかったの。でも、私の心の中に、最初からずっと居座って離れなかったのは・・・・・・翔なの。翔の不器用な優しさが、世界で一番好きなの」 莉乃は、翔の泥だらけの手を、しっかりと握り返した。蓮は空を仰ぎ、雨に打たれながら、「・・・・・・そうか。やっぱり、勝てないな」と、力なく、けれど優しく微笑んだ。