四色の糸が解けるまで

秋になり、学園祭の準備が始まると、莉乃と蓮が一緒に過ごす時間が増えた。蓮は、莉乃への好意を隠そうとしない。莉乃の隣に自然と寄り添い、優しく話しかける。 その様子を、翔は遠くから見ていた。最初は気にも留めていなかった。しかし、蓮に向けられる莉乃の、少し困ったような、でも嬉しそうな笑顔を見た時、翔の心に今まで感じたことのない感情が芽生えた。 冬の放課後、夕日に染まる渡り廊下で、翔は蓮と一緒に帰ろうとする莉乃を呼び止めた。 「莉乃、帰るぞ」 「え、でも今日は蓮くんと・・・」 莉乃の言葉を遮るように、翔は莉乃の手を掴んだ。蓮の目の前で。 「・・・ダメだ。今日は俺と帰る」 翔の手に力がこもる。その強い引き寄せに、莉乃は戸惑う。 「蓮、悪い。莉乃は俺が送る。こいつは・・・俺の幼馴染だから」 蓮は静かに翔を見つめた。 「『幼馴染』だから? それ、ただの言い訳だろ。お前、莉乃が誰かに取られるのが怖いだけじゃないのか?」 蓮の言葉に、翔は言葉を失う。そうだ、怖いんだ。今まで「当たり前」だと思っていた莉乃が、自分から離れていってしまうのが。 「・・・ああ、そうだよ。悪いか」 翔は莉乃の手を離さず、震える声で言った。 「莉乃・・・行くな。俺、お前がいないと・・・ダメなんだ」 翔の素直な言葉に、莉乃の胸は熱くなる。ずっと聞きたかった言葉が、思わぬ形で届けられた瞬間だった。