TIME CRISIS

僕の名前は刻世未来。
スポーツ推薦で高校へ入学したものの
主将を押しやり、既に部内最強兵器と言われるほどの実力があった。
個人戦の大会に出れば優勝、団体戦では大将。
学業成績もトップクラスでありながら
友達からの人望にも厚い。

「おい、未来」

校舎の玄関先で柱に寄りかかる人影が見える
まだ雨季が去ったばかりだと言うのに異常なほどの暑さで陽炎が人影を隠す

「今日も練習はサボりか」
「あぁ、高坂先生」

再び屋根下にできた日陰へ身を入れると横目で顧問を見る

「練習に出たところで何が変わると言うんです」
「変わるとか変わらないとか、そういう問題ではないだろう」

高坂先生の手が強く肩を掴む

「誰もお前に敵わないのは分かってはいるが、お前自身も心技体を重んじて礼を尽くし...」
「僕の母と不倫した顧問の先生が礼節のお説教ですか」

冷たい言葉とは真逆な生暖かい風が吹き抜ける
未来の肩に置かれた手は弱々しくなり、怯えたようにも取れる

「...何度も言ったが不倫ではないし、学生の頃に仲が良かっただけだよ」
「親しげなキスは学生の頃の延長線ですか」