君がいてくれて。

桜が咲く季節。
人が出会い別れる季節。
同い年の子達は春休みに入った頃。
治療室から見える景色は元々の病室とは少し違って見えるけれどここからの風景もまた違った顔を見せる。
ここから見える川沿いの道を小学生ぐらいの子達だろうか、新しくキラキラと光っている銀色の自転車をこいで笑顔で走り去っていた。
その時、面会室のドアがノックされてガラスの窓から顔を出したのは樹くんと紘くんだった。
そして樹くんの手には紙のようなものが握られている。
「優花ー!今日はプレゼント持ってきた!」
「プレゼント……?」
樹くんからは直接受け取れないから星川先生が代わりに私に渡してくれて見てみると桜の木を撮った写真だった。
「あ...これって...。」
そう言って顔をあげると樹くんはその視線に気づいてにこっと笑った。
その後ろで紘くんも優しく微笑んでいる。
「うん。中庭の桜だよ。僕が撮ったんだ。」
「今年は見に行けなかったから写真でもいいから見せてあげたくて!それて紘に頼んだんだ!」
本当にそのまま景色の閉じ込めたような写真に見とれていると横から星川先生が近づいてきて私と目線を合わせた。
「良かったわねっ。大切なお友達ができて。」
「っ……。はいっ……!」
星川先生の言葉に私が少し涙ぐむと樹くんの元気な声が部屋に響く。
「優花!今回見に行けなかったのは仕方なかったけれどきっと来年は見に行けるよ!!だから大丈夫!」
「うん。樹の言う通りだよ。というか来年見に行く時には僕も誘ってね。去年一緒に見に行けてないんだからさ。」
「あ、確かに!もちろんだよ!3人で見に行こう!」
そう言った樹くんは笑顔でガッツポーズをする。
「ここからはギリギリ川沿いの桜並木が見えないものね。」
「はい……。」
この病室から見える川沿いには桜の木は植えられていなくて今年は見れないと思っていたけれど写真を撮ってきてくれた2人のおかげで最高の桜を見ることが出来た。
「2人ともありがとう……!2人のおかげで今年も大好きな桜を見る事ができた……!」
「来年は3人で絶対に見に行こ!!!絶対だよ!絶対!約束だからね!!!」
そう言うと樹くんはわかった?と私に返事を求める。
「ふふっ。もちろん。」
「……やっぱり笑顔だよ。桜の花言葉にはあなたに微笑むって言う言葉もあるんだ。笑っているのが1番だよ。優花も樹もね。」
紘くんはそう言うと今日1番の笑顔を見せる。
それにつられて私と樹くんも最高の笑顔を浮かべた。
私はこの桜のつぼみがぱっと咲いたような樹くんの笑顔がやっぱり大好きだっ。