4月初め。
僕は紘と中庭の桜の木の前にいた。
今年、優花とのこの桜の木を見る約束は果たすことが出来ずせめて見せてあげる事ができたらと星川先生に許可を取って紘にこの桜の木の写真を撮ってもらうことにした。
「もう優花と会って1年か……。早いな……。」
季節はどんどん過ぎていってあっという間に1年が経つ。
あの日から約1年が経った今日、隣に優花はいない。
だけれど紘が撮る景色をそのまま閉じ込めたような綺麗な写真を見たら優花は少しでも元気になるんじゃないかと、僕は提案した。
「桜、満開だな。」
僕の隣に立っている紘はそう呟いた。
「うん。だね。」
僕も紘にそう返す。
仕方ないことだとは分かってはいるけれど心のどこかではまだ消えきらない一緒に桜を見ることの出来なかった悲しみがあった。
「じゃあ何枚か撮るから見せる写真は樹が選んで。」
紘の言葉に大きく頷くと優しい笑顔を返してくれた。
優花の病室が変わってから本当に少しだけ紘の笑顔が少なくなった気がする。
大人っぽい紘は普段からあまり気持ちを出さないけれど紘もいつもいた優花がいないと寂しいのかもしれない。
写真を撮る紘の背中を見ながら僕はふとそう思った。
とその時、中庭に強い風が吹き桜の木から桜の花びらが宙にふわっと舞い上がる。
その光景が1年前の景色と重なったような気がした。
「うわっ……すごっ。」
紘は言葉を失いながらもパシャっと1枚綺麗な写真を撮ってくれた。
その写真にはあの日の優花も僕もいない。
今年は約束果たせなかったな……。
きっと来年は……ね。
「なぁ、樹。一応10枚ぐらい写真撮っといたけれどどれがいい?写真印刷しないといけないから星川先生に頼もう。」
「あ、うん。」
そう返事をして高そうなカメラを壊さないように優しく受け取る。
……やっぱり紘は写真撮るのが上手いな……。
どれも上手く撮ってくれていたけれどやっぱり僕が1番気に入ったのは最後に紘が撮ってくれた桜吹雪の写真だった。
「……これかな。」
きっとこの写真を見たら優花も去年の事を思い出してくれるんじゃないかと思ったから。
「いいじゃん。実は僕もこれが1番うまく撮れたと思ってたんだよね。」
カメラを返すとそう言って画面に映し出された写真をまじまじと見た紘。
「じゃあ、ナースステーションによってから優花のところ行こう。早めに渡してあげた方がいいじゃん?」
「うん。紘、本当にありがとな。」
そう言って笑いあった僕たちの横を春の思い出をのせた風が爽やかに吹き抜けていった。
僕は紘と中庭の桜の木の前にいた。
今年、優花とのこの桜の木を見る約束は果たすことが出来ずせめて見せてあげる事ができたらと星川先生に許可を取って紘にこの桜の木の写真を撮ってもらうことにした。
「もう優花と会って1年か……。早いな……。」
季節はどんどん過ぎていってあっという間に1年が経つ。
あの日から約1年が経った今日、隣に優花はいない。
だけれど紘が撮る景色をそのまま閉じ込めたような綺麗な写真を見たら優花は少しでも元気になるんじゃないかと、僕は提案した。
「桜、満開だな。」
僕の隣に立っている紘はそう呟いた。
「うん。だね。」
僕も紘にそう返す。
仕方ないことだとは分かってはいるけれど心のどこかではまだ消えきらない一緒に桜を見ることの出来なかった悲しみがあった。
「じゃあ何枚か撮るから見せる写真は樹が選んで。」
紘の言葉に大きく頷くと優しい笑顔を返してくれた。
優花の病室が変わってから本当に少しだけ紘の笑顔が少なくなった気がする。
大人っぽい紘は普段からあまり気持ちを出さないけれど紘もいつもいた優花がいないと寂しいのかもしれない。
写真を撮る紘の背中を見ながら僕はふとそう思った。
とその時、中庭に強い風が吹き桜の木から桜の花びらが宙にふわっと舞い上がる。
その光景が1年前の景色と重なったような気がした。
「うわっ……すごっ。」
紘は言葉を失いながらもパシャっと1枚綺麗な写真を撮ってくれた。
その写真にはあの日の優花も僕もいない。
今年は約束果たせなかったな……。
きっと来年は……ね。
「なぁ、樹。一応10枚ぐらい写真撮っといたけれどどれがいい?写真印刷しないといけないから星川先生に頼もう。」
「あ、うん。」
そう返事をして高そうなカメラを壊さないように優しく受け取る。
……やっぱり紘は写真撮るのが上手いな……。
どれも上手く撮ってくれていたけれどやっぱり僕が1番気に入ったのは最後に紘が撮ってくれた桜吹雪の写真だった。
「……これかな。」
きっとこの写真を見たら優花も去年の事を思い出してくれるんじゃないかと思ったから。
「いいじゃん。実は僕もこれが1番うまく撮れたと思ってたんだよね。」
カメラを返すとそう言って画面に映し出された写真をまじまじと見た紘。
「じゃあ、ナースステーションによってから優花のところ行こう。早めに渡してあげた方がいいじゃん?」
「うん。紘、本当にありがとな。」
そう言って笑いあった僕たちの横を春の思い出をのせた風が爽やかに吹き抜けていった。

