クリスマス会から3日後のこと。
朝の健康観察で樹くんと先生が話している会話を横から聞いている時、先生が一言ぽつりとこぼした。
「そういえば、日和ちゃんの心臓移植の手術がもう少しでできるようになるかもしれないの。日和ちゃん自身から2人に伝えといてほしいって……。今は治療の事とかご両親とゆっくり相談したいからって一時帰宅中だから。」
私はそれを聞いて読んでいた小説から目を離して先生を見た。
「そうなんですね。……いつかは決まったわけじゃないんですか?」
「うん…。まだ日和ちゃんと日和ちゃんのご両親が話し合っている途中だからいつかは分からないの。」
日和ちゃん……。
この前、私に治療が怖いって事を話してくれた時もすっごく悩んでいた日和ちゃんだし今もきっとこの前以上に悩んでいるんだと思う。
いざとなると人は自分が怖いと思っている方は覚悟が決まっていたとしても選びたくなくなるものだから。
「でも、心臓移植ってそんなに長い時間悩めるものではなくてだからこそ悩みに悩んで直前まで決められない人も少なくはない。これは私にもどうしてあげることをもできないけれどねっ……。」
そう話した星川先生も少し辛そうな顔をしていて私も心が痛くなった。
「……私達にできることってないですか……?」
「そうだね…。決めるのも日和ちゃんだし、手術を受けて治すのも日和ちゃん。でもっ、日和ちゃんに寄り添ってあげて?きっと同い年ぐらいの子達の方が私たち大人より近くにいることができるからねっ。」
日和ちゃんのためにできることはしてあげたい。
でも、最後は全て日和ちゃんが決める事だから私達は結局寄り添ってあげることしかできない。
だけど、それでもできることがあるのならいつもの日和ちゃんのように私もその優しさを日和ちゃんに返したい。
「先生っ!日和ちゃんって病院にいつ帰ってきますか?」
そう先生に大きな声で聞いた樹くんに私はびっくりした。
「えっと、確か明後日かな。」
「分かりました!ありがとうございます!優花!ちょっと紘のところ行くよ!」
「え、え!ちょっと…!待って…!」
走りだした樹くんに私は手を引かれてついて行った。
♡
「こら〜!廊下は走らないよ〜!」
「すみませんっ…。」
そう叫ぶ看護師さん達に頭を下げながら樹くんにそのままついて行く。
「紘!」
樹くんは紘くんの部屋まで来るとドアを勢いよく開けてそう叫んだ。
「は、樹?と優花?」
紘くんはびっくりしたように目を丸くしてカメラをベットに置くとこちらに駆け寄ってきた。
「2人から来るなんて珍しいね。入って。」
紘くんは一人部屋なんだ…。
そう思いながら奥に進むと綺麗に整頓された本や服などが置いてあった。
「で、どうしたの?なんか急いできたみたいだけど。」
「それがさ……!」
樹くんが日和ちゃんが心臓移植がもう少しでできる事。そして今は家に一時帰宅していて明後日帰ってくることを伝えると紘くんは相づちをうちながら静かに話を聞いたあと、ゆっくり口を開いた。
「それで、樹、今度は何を企んでるわけ。」
「なんでそれがわかったの!?」
「だいたい樹が急いで来る時ってなにか企んでるか興味のある事がある時でしょ?」
企んでる……?
もしかしたら日和ちゃんのことで樹くんにもなにか考えがあるのかもしれない。
「それで、僕が企んでることは!ズバリ千羽鶴!」
「「千羽鶴……?」」
私と紘くんが声を合わせてそう聞くと樹くんは大きく頷いた。
「千羽鶴って病気からの回復って意味を込めておるんだって!この前こもれびルームの本で見た!日和ちゃんに寄り添うことしかできないって先生が言うなら僕達でなにかできることを見つければって思ったからさ!」
千羽鶴か……。
確か、前におばあちゃんが鶴の折り方教えてくれたっけ…?
「でさ!3人で日和ちゃんが帰ってくるまでに千羽鶴折ろう!」
「え、いや、日和ちゃん帰ってくるの明後日だよ?間に合わないでしょ。」
3人で間に合わないなら……。
「それなら、日和ちゃんと仲良くしてるあの女の子達にお願いしたら一緒に折ってくれないかな?」
私がそう提案すると2人は意見に賛成してくれた。
先生に聞くとあの女の子達は日和ちゃんと同じ病室の子達らしくて部屋の番号を教えてもらって3人でお願いしに行くことにした。
「ここだよね?」
「うん。失礼します。」
紘くんがドアをノックしてゆっくり開けると中では日和ちゃんのベットの机を囲んで何かしているみんなと目があった。
「あ!この前のクリスマス会の子達じゃん!どしたの?ひよりんなら今一時帰宅中だよ?」
「あ、はいっ…!先生から聞いてます…!その事なんですけど……。」
私はさっき3人で話していた内容を全て説明すると女の子達は笑いながら机の上を指さした。
「私達も同じこと思ってた!ひよりんがさ、こもれびルームに自由に使っていいよって前に折り紙たくさん置いててくれたからそれで折ってんの!」
す、すごい……。
指さされた机の上を見ると100羽近くある鶴がおられていた。
「まだ、今度心臓移植するって決まったわけじゃないけどさ、千羽鶴ってだけで少しでも私達から元気をあげられないかなって勝手に思ってたの。」
「ってことだからさ!優花ちゃん達も一緒に折ろっ!」
「っ……!はいっ…!」
♡
そのまま女の子達と3人で夕方まで折り続けてなんとか400羽ぐらいまでおる事が出来た。
「……腕痛い……。」
「こりゃ明日筋肉痛だね……。」
「だけど明日もひよりんのために頑張らなきゃ!間に合わないぞ〜!」
みんなの人柄から日和ちゃんの優しさも感じ取れるような気がする……。
「じゃあ明日も頑張ろ〜っ!」
「「「「おーーー!」」」」
朝の健康観察で樹くんと先生が話している会話を横から聞いている時、先生が一言ぽつりとこぼした。
「そういえば、日和ちゃんの心臓移植の手術がもう少しでできるようになるかもしれないの。日和ちゃん自身から2人に伝えといてほしいって……。今は治療の事とかご両親とゆっくり相談したいからって一時帰宅中だから。」
私はそれを聞いて読んでいた小説から目を離して先生を見た。
「そうなんですね。……いつかは決まったわけじゃないんですか?」
「うん…。まだ日和ちゃんと日和ちゃんのご両親が話し合っている途中だからいつかは分からないの。」
日和ちゃん……。
この前、私に治療が怖いって事を話してくれた時もすっごく悩んでいた日和ちゃんだし今もきっとこの前以上に悩んでいるんだと思う。
いざとなると人は自分が怖いと思っている方は覚悟が決まっていたとしても選びたくなくなるものだから。
「でも、心臓移植ってそんなに長い時間悩めるものではなくてだからこそ悩みに悩んで直前まで決められない人も少なくはない。これは私にもどうしてあげることをもできないけれどねっ……。」
そう話した星川先生も少し辛そうな顔をしていて私も心が痛くなった。
「……私達にできることってないですか……?」
「そうだね…。決めるのも日和ちゃんだし、手術を受けて治すのも日和ちゃん。でもっ、日和ちゃんに寄り添ってあげて?きっと同い年ぐらいの子達の方が私たち大人より近くにいることができるからねっ。」
日和ちゃんのためにできることはしてあげたい。
でも、最後は全て日和ちゃんが決める事だから私達は結局寄り添ってあげることしかできない。
だけど、それでもできることがあるのならいつもの日和ちゃんのように私もその優しさを日和ちゃんに返したい。
「先生っ!日和ちゃんって病院にいつ帰ってきますか?」
そう先生に大きな声で聞いた樹くんに私はびっくりした。
「えっと、確か明後日かな。」
「分かりました!ありがとうございます!優花!ちょっと紘のところ行くよ!」
「え、え!ちょっと…!待って…!」
走りだした樹くんに私は手を引かれてついて行った。
♡
「こら〜!廊下は走らないよ〜!」
「すみませんっ…。」
そう叫ぶ看護師さん達に頭を下げながら樹くんにそのままついて行く。
「紘!」
樹くんは紘くんの部屋まで来るとドアを勢いよく開けてそう叫んだ。
「は、樹?と優花?」
紘くんはびっくりしたように目を丸くしてカメラをベットに置くとこちらに駆け寄ってきた。
「2人から来るなんて珍しいね。入って。」
紘くんは一人部屋なんだ…。
そう思いながら奥に進むと綺麗に整頓された本や服などが置いてあった。
「で、どうしたの?なんか急いできたみたいだけど。」
「それがさ……!」
樹くんが日和ちゃんが心臓移植がもう少しでできる事。そして今は家に一時帰宅していて明後日帰ってくることを伝えると紘くんは相づちをうちながら静かに話を聞いたあと、ゆっくり口を開いた。
「それで、樹、今度は何を企んでるわけ。」
「なんでそれがわかったの!?」
「だいたい樹が急いで来る時ってなにか企んでるか興味のある事がある時でしょ?」
企んでる……?
もしかしたら日和ちゃんのことで樹くんにもなにか考えがあるのかもしれない。
「それで、僕が企んでることは!ズバリ千羽鶴!」
「「千羽鶴……?」」
私と紘くんが声を合わせてそう聞くと樹くんは大きく頷いた。
「千羽鶴って病気からの回復って意味を込めておるんだって!この前こもれびルームの本で見た!日和ちゃんに寄り添うことしかできないって先生が言うなら僕達でなにかできることを見つければって思ったからさ!」
千羽鶴か……。
確か、前におばあちゃんが鶴の折り方教えてくれたっけ…?
「でさ!3人で日和ちゃんが帰ってくるまでに千羽鶴折ろう!」
「え、いや、日和ちゃん帰ってくるの明後日だよ?間に合わないでしょ。」
3人で間に合わないなら……。
「それなら、日和ちゃんと仲良くしてるあの女の子達にお願いしたら一緒に折ってくれないかな?」
私がそう提案すると2人は意見に賛成してくれた。
先生に聞くとあの女の子達は日和ちゃんと同じ病室の子達らしくて部屋の番号を教えてもらって3人でお願いしに行くことにした。
「ここだよね?」
「うん。失礼します。」
紘くんがドアをノックしてゆっくり開けると中では日和ちゃんのベットの机を囲んで何かしているみんなと目があった。
「あ!この前のクリスマス会の子達じゃん!どしたの?ひよりんなら今一時帰宅中だよ?」
「あ、はいっ…!先生から聞いてます…!その事なんですけど……。」
私はさっき3人で話していた内容を全て説明すると女の子達は笑いながら机の上を指さした。
「私達も同じこと思ってた!ひよりんがさ、こもれびルームに自由に使っていいよって前に折り紙たくさん置いててくれたからそれで折ってんの!」
す、すごい……。
指さされた机の上を見ると100羽近くある鶴がおられていた。
「まだ、今度心臓移植するって決まったわけじゃないけどさ、千羽鶴ってだけで少しでも私達から元気をあげられないかなって勝手に思ってたの。」
「ってことだからさ!優花ちゃん達も一緒に折ろっ!」
「っ……!はいっ…!」
♡
そのまま女の子達と3人で夕方まで折り続けてなんとか400羽ぐらいまでおる事が出来た。
「……腕痛い……。」
「こりゃ明日筋肉痛だね……。」
「だけど明日もひよりんのために頑張らなきゃ!間に合わないぞ〜!」
みんなの人柄から日和ちゃんの優しさも感じ取れるような気がする……。
「じゃあ明日も頑張ろ〜っ!」
「「「「おーーー!」」」」

