君がいてくれて。

「ごめん!めっちゃ時間経ってた!」
「もう!ひよりん!トイレ行くって言ってから30分経ってるよ!絶対寄り道してたんでしょ!」
「あははっ!その通りなんだけど!」
クリスマス会の部屋に帰ると日和ちゃんはいつも通りの笑顔になってみんなの輪に戻って行った。
「ごめんねっ。ちょっと色々あって遅くなっちゃったっ…。」
「大丈夫だよ!理由はだいたい予想がついてるし!だって優花の事だもんね!」
「うん。僕も予想ついてるよ。まあ、日和ちゃんの様子からしても…ね。」
2人は私と日和ちゃんの様子から予想がついたのか私の隣にぴたっとくっついて頷いていた。
「あははっ…流石2人ですねっ。察しがいい…。」
「でしょ。」
「まあ。僕達だし。」
私が2人を見て微笑むと先生達がみんなの前に立った。
「じゃあ、みんな!これでクリスマス会は終了となります!日和ちゃんが作ってくれたクリスマスプレゼントを受け取った人から病室に戻ってね〜!」
「「「「はーーい!!!!」」」」
日和ちゃん…プレゼントまで作ってたんだっ…。
凄いっ…。
「みんなー!じゃあ、ここに並んでね〜!!」
集まってた小さな子達は日和ちゃんの前に1列の列を作って1人ずつプレゼントを受け取って笑顔で部屋を出ていく。
最後の1人にプレゼントを渡し終わると日和ちゃんは笑顔で立ち上がった。
「みんな、喜んでくれて良かった!」
「ほんと、ひよりんって手先が器用だよね〜!」
「そうかな?あ、それより……。」
少し表情を固くした日和ちゃんは同い年ぐらいの入院している女の子達の方に向き直ると頭を下げた。
「ごめん…!ずっとみんなに黙ってた事がある…!」
「え、ひよりん?急にどした?」
「実は…。」
日和ちゃんは1度大きな深呼吸をすると目をゆっくり開けた。
「私、心臓移植するの。」
「心臓移植…?」
「うん。黙っててごめん。みんなに心配かけたくなくて…。」
みんなの反応が怖いのか俯いて目をぎゅっと閉じている日和ちゃん。
「…もう!そんなに身構えなくてもいいじゃん!別に隠してたからって友達じゃなくなる訳じゃないし…心配して励まし合うのが友達でしょ!前にひよりんが言ってたことじゃん!」
え……?
私もびっくりして固まっているとその女の子達は日和ちゃんを抱きしめた。
「でも、ひよりんの事だから私達を心配させないようにと思ったんでしょ?ひよりんらしいねっ。」
お友達の言葉を聞いて顔をあげた日和ちゃんの目からは大粒の涙が流れ落ちた。
「え……?みんな怒らないの……?私、ずっとみんなに黙ってたのに…。」
「怒んないよ!隠してたぐらいで!私達をなんだと思ってるの!それにこれまでひよりん、私達が何言っても怒らなかったじゃん。」
確かに……。
日和ちゃんって誰が何しても、何を言ってもこれまで怒った事がない。
私も日和ちゃんとたくさん話したことがある訳ではないけれどこれまでのお友達の皆さんとの会話を見ている中で私はそう感じていた。
「でも……元気に戻ってこなかったら怒るからね!」
「っ……みんな、ありがとっ…!」
次は日和ちゃんからみんなに抱きつくとみんなは凄く幸せそうな顔をした。
この時、私は日和ちゃんがみんなからどれだけ愛されているのかちゃんとわかった。
日和ちゃんの事だもんねっ……。
「じゃあ、僕達は帰ろっか。みんなの邪魔したらいけないし。」
そう声がして私は振り向く間もなく樹くんに手を引かれて歩き出す。
「あ、うんっ……!」
紘くんも私の横をゆっくりと歩いて着いてきて日和ちゃん達のお邪魔にならないように3人で静かにこもれびルームを出た。