君がいてくれて。

「実はね…。心臓移植の手術…怖いんだ…。」
「え…?」
怖い…?
日和ちゃんの口から出てきた言葉はいつものひよりちゃんからは想像もできないような言葉だった。
「いつもはみんなを心配させないように治療の話題は避けてたんだけど……今日はちょっと泣かないの無理だったわっ…!」
日和ちゃんはそう言いながらも笑顔を絶やさない。
無理…してる…。
「日和ちゃん…。泣いていいんだよ…?」
「いやっ…。あたしが泣いたらみんながさっ…。」
そこで急に言葉が止まり、日和ちゃんの目ならとめどなく涙が溢れ出してきた。
「あれっ…おかしいなっ…。」
「…無理しないでいいよっ…。」
私が背中をなでながら声をかけると抱きついてきた日和ちゃん。
「泣きたい時は泣いちゃった方がいいんだよっ。特に日和ちゃんはいっつも我慢しちゃってると思うからねっ…。」
「なんで…優花ちゃんといたらなんでも話しちゃうんだろっ…。優しすぎるでしょっ……。」
日和ちゃん…。
いつも笑顔でみんなに囲まれていて明るくて、小児科の太陽のような存在の日和ちゃんが抱えていたのは、とても苦しくて悲しい不安だった。
「もう…いやだっ…。なんでこんな体に生まれたんだろっ…。」
「っ…。」
なんて声をかけてあげたらいいのっ…。
「うわああああっ………!!!」
大声で泣く日和ちゃんの背中を撫でてあげることしかできない私に少し悲しくなる。
どうしたらっ…。
私はこの前、日和ちゃんのお話でたくさん明るくしてもらったのに…。
そう考えている間にも時間はどんどん過ぎていく。
そのまま日和ちゃんに何かしてあげる事もだんだんとクリスマス会が終わる時間が近づいてきた。
「あ…そろそろ戻らないとだよねっ…。ごめんっ、せっかくのクリスマス会だったのに探しにこさせてしまって……。もう、涙腺崩壊しちゃった…!」
日和ちゃんも時間に気づいたのか私からぱっと離れてそう言った。
「全然大丈夫だよっ…!気にしないでっ…!戻れそうになかったら私が伝えておくし…無理だけはしないでね…!」
「いや、戻るよっ。みんなに心配かけたくないから。そのためにこれまで治療の話は避けてきたんだもん。」
やっぱり…日和ちゃんは友達思いだっ…。優しい…。
「よしっ…!戻ろう。優花ちゃん。ありがとね!」
私は何も出来なかったんだけれど…。
「ごめんねっ。私、日和ちゃんに何もしてあげれなかった。」
「そんな事言わないで…!友達ってそばにいるだけですっっごく心強い存在なんだよ。」
目を見開いて日和ちゃんの顔を見あげると涙を拭ってさっきよりも晴れ晴れとした明るいひまわりのような笑顔がそこにはあった。