君がいてくれて。

12月15日。
今日は少しだけ早いけれどこもれびルームでクリスマス会が開催された。
「今年は飾りがめっちゃ豪華になってる!」
樹くんはこもれびルームに飛び込むとそう言った。
「そうなの?」
私は来たことがないから分からないな…。
「うん!去年は先生がお店で買ったものを飾り付けてたけど…今年は折り紙で折ったものとかある!」
樹くんの言う通り、壁にはサンタクロースやトナカイなどの折り紙が並んでいてとても華やかになっていた。
「すごいな…。これ折った人、相当手が器用だね…。全くズレがないよ…。」
紘くんも折り紙を眺めながらそう言った。
「もしかしてこれって…。」
「でしょ!これ、ほとんど私が作ったの!!」
うわっ…!日和ちゃん…!?
後ろから音もなく急に現れた日和ちゃんにみんなびっくりして目を見開いている。
「あははっ!ごめんね!驚かせちゃったか!」
「やっぱり、日和ちゃんだったんだね…!」
「そうだよ!ヤバくない!?この完成度!」
壁に飾られている折り紙を見ながら目をキラキラさせている日和ちゃん。
ふふっ、嬉しそうだなっ…。
「これさ!星川先生が折ってくれたんだよ!あとこれは高橋先生!こっちは藤崎先生!」
先生達も…!
「先生達も上手だねっ。」
「それなっ!看護師さん達にも頼んで見たんだけど私達は手先が器用じゃないからって断られちゃってさ、そしたらそれ聞いた先生達がナースステーションに置いてあった折り紙で色々折っててくれたんだって!」
「先生達も作った折り紙なんてみんな喜びそうだな。」
先生達は治療とかで手先をたくさん使うから細かい作業には慣れているのかもしれない。
それにしてもとっても綺麗にそして丁寧に折られた折り紙がたくさん並んでいる。
「3人も作らない?飾りなんて何個あってもいいし!」
私達も…!でも、いいのかなっ…?
「作らせてもらってもいいの?」
「もっちろーん!みんなで作った方が楽しいじゃん?」
「うん!じゃあ、僕たちも!」

「出来た〜!!!」
「私もっ…!」
樹くんと日和ちゃんに教えて貰いながらだけれど何とかサンタクロースの折り紙を折りきることができた。
だけど…、
「紘〜…だから違うって〜…。」
「え、こっち?」
「だから…ここをこうして…。」
紘くんはまだ苦戦しているみたい…。
以外と手先が不器用なのかな…?
その後紘くんの折り紙も何とか完成させることができて私たちの周りには小さい子達がたくさん集まって来ていた。
「お姉ちゃん!私にも教えて!!」
「僕にも!僕にも!」
「私も教えて欲しいの!」
「よーし!じゃあ、みんなで作ろっか!!」
「「「「やったぁー!!!」」」」
あっという間に日和ちゃんはみんなに囲まれて私たちは外で見ていることにした。
「日和ちゃん、大人気だねっ。」
「うん。あの明るい性格だからね。きっとみんなに好かれているんだろうな。」
「あの手先の器用さには憧れる!」
さっきから目をキラキラさせて日和ちゃんの手元を見ている樹くんを見て笑みがこぼれる。
確かに…あれには私も憧れる…。
手先が器用だと得意なこと多くなるもんねっ…。
「お!やってる、やってる!」
ドアの方から声がして振り向くと星川先生達が立っていた。
「せんせー!!!」
「日和お姉ちゃんが折り紙教えてくれたの!!」
「良かったねぇ!みんな上手にできてる!」
さっきまで日和ちゃんに教えてもらっていた子達は一気に先生達の所に駆け寄っていって日和ちゃんもこちらに歩いて来た。
「みんなめちゃくちゃ上手だったよー!!またみんなで折り紙折ろうね!!」
「はーい!!!」
みんな楽しそうっ…!
小児科に入院しているみんなはあまり関わる機会がないからこんなイベントがあるとたくさんお友達ができてとてもいいと思うっ。
「じゃあ、クリスマス会始めるよー!!!」
「やったぁー!!!」

「この髪型可愛い!!」
「でしょー!ガチで似合ってるよー!!」
クリスマス会が中盤に差し掛かっても日和ちゃんは常にみんなの真ん中にいて中高生の女の子達に囲まれていた。
「ってかさ、ひよりん確か大きな治療?控えてるんだったよね…?」
女の子達の間にそんな話題が出て思わず盗み聞きをしてしまった。
「あー…そうなんだよねっ!まあ、大丈夫!もう少し待たなきゃだし!それよりゆっぴーも手術でしょ!?私、心配だよぉ〜!」
「私は大丈夫!そんなに大きな手術じゃないもん!
私よりひよりんの手術の方が成功率が低いんでしょ?詳しい内容は言ってくれないけどさ。」
もしかして小児科のお友達さんには心臓移植の手術の事を話していないのかな…?
「別に言うほどの内容じゃないもん…!すぐに終わるし別に心配しなくていいよ…!それよりこの前学校行ったんでしょ!?どうだったの?」
…日和ちゃん、なんだか治療の話を避けてる…?
気のせいかなっ…。
「あ、私、ちょっとトイレ行ってくるっ!」
私がそんなことを1人で考えていた時に日和ちゃん少し作ったような笑顔を浮かべお友達にそう言ってこもれびルームを出ていった。
大丈夫かなっ…。
「…ご、ごめんっ。私、少し抜けるねっ。」
「あ…うん!わかった!クリスマス会終わるまでには戻ってきてね。先生が心配するから!」
「ありがとうっ…!」
樹くんは私の表情から何か察してくれたのか何も聞かないでくれた。
日和ちゃん…。
近くのトイレを全て探してみたけれどみんなクリスマス会に参加しているから誰もいなくてこもれびルームに戻ろうかと来た道を引き返そうとした時、談話室のドアが少し開いていて中を除くとカーテンが閉められていて真っ暗な部屋に日和ちゃんがただ一人立っていた。
「日和ちゃんっ…!ここにいたんだっ…。」
「っ…!優花ちゃん!どうしたの?こんな所で。早くみんなのところ戻りな?」
「でも、日和ちゃんは…。」
そう質問すると日和ちゃんは少し悲しそうに顔を歪めた。
目の下は光がなくてもわかるくらい赤くなっていて一目で泣いていた事がわかった。
「…少しだけお話聞かせて…?この前は日和ちゃんが私のお話聞いてくれたから今度は私がねっ…!」
「…ありがとう。優花ちゃん…。実はね…。」
その後、日和ちゃんの口から出てきた言葉はいつもの日和ちゃんからは想像もできないような言葉だった。