「鳳凰さん見てたら、楽しくて。探偵みたいについて回ったら、なに見れるのかなって。それで、いいの見れた。アハハ」
高笑いをして、「ウケるわ」と目に涙を浮かべて手で拭っていた。
「お疲れ様です」と他の会社の社員に挨拶をされた。
私は我に返った。
ここは、会社の前だ。
こんなところで見られたら、私、終わる。
いろんな意味で。
「本間くん。場所移そうか。今、空いてる?」
本間くんの腕を掴み、尋ねる。
「え? なんですか? 誘ってます?」
「ふざけんじゃないよ。ここどこだと思ってんの、会社の前だよ。行くよ」
私は本間くんを睨みながら、強く手首を掴み、駅まで連れて行く。
「ねぇ、どこまで行くんですか?」
本間くんは疲れたのかはぁとため息をしていた。
私は地下鉄に乗り、次の駅で本間くんと降りた。
「なんですか、地下鉄も使って…会社の近くでもよかったじゃないですか?」
「はぁ、本間くん。社員に見られたら、二人でなにやってるんですか? と聞かれて、嘘は言えるけど、そこまで嘘つきたくないし、余計に詮索されたくないんだよ」
私は降りた駅で、頭を手で押さえた。

