「今…時間あるよ。どれ、見せて」
私は佐藤から資料を受け取り、答える。
「これ、なんですけど……」
「うん」
「あ、これはね…」と私は佐藤にアドバイスをし始めた。
「ありがとうございます。参考になりました」
佐藤は曇り空のように沈んでいたのが、晴れ渡ったような表情になっていた。
佐藤にアドバイスを終えた頃、終業時間になっていた。
今日やるべきことを終えてから、私は帰り支度をし始めた。
よし、今日はまっすぐ帰って、楽しみにしているドラマをリアルタイムで見よう。
一八時、ピッタリ。
「お疲れさまでした」
私は早々と椅子を引いて、小さな手提げバックを持ち、軽やかな足取りで帰路につこうとした。
「お疲れ」
「お疲れ様です」
吉岡さんや職場の後輩たちが「お疲れ様です」と各々言っていた。
まぁ、やるべきこと早く終えたから、帰ってもいいよね。
本当は帰るの早ッとか思われているかもしれないけど。
「……帰ってもいいよね。今日やること終わったんだし」
よし、帰るぞと意気込んでいたその時だった。
「鳳凰さん、忘れてないですか? これ」
目の前に本間くんがいた。

