クズにはクズのやり方で

 本間くんは鞄を右腕に引っかけて、スマホを弄ってから腕を組んだ。

「今日〟も“ではない。今日は残業なの。頑張るしかない」

「…頑張るですか」

 本間くんはため息を吐いてから、私の方へ顔を向けた。

「なに、なんか文句でもあんの?」

「…いや…なんでそんなに頑張るのかなって。俺だったら、そんなの投げ捨てたくなりますよ。夢があってもそれを最後までやろうと思わないですよ。成功するか失敗するか分からないのに」

「本間くん。それ本気で言ってる?」

 間を置かずに私は立ち上がり、本間くんと向き合う。

「はい」

「……本間くん。仕事なめないでよね。私はこの仕事は天職だと思ってる。それを貶すなら、辞めてもらって結構だよ」

 私は怒り口調で本間くんに言葉で突き放した。

「……俺、これで失礼します」

 本間くんは言い返さず、軽く礼をして帰った。

「…ふぅ……仕事なめやがって。ただ仕事をやればいいって問題じゃないから。あああ…!」

 椅子の背中にもたれかけながら、深くため息をつく。

 髪をぐしゃぐしゃにかき回して、誰もいないことを確認して、ああ! と一人で叫んだ。

「今日は終わりにしよう。うん」