クズにはクズのやり方で

 「鳳凰」

 「どうしたんですか?」

 吉岡さんから声をかけられた。

 最近、吉岡さんは外回りが多く、私が代わりに主導で部下たちを指導していた。

「鳳凰。この案件どう思う?」

「あ、はい。今確認します」

 吉岡さんから渡された資料をすぐに確認した。

 それは、WEB広告で有名な企業だった。

 私は有名な企業に憧れがある。

 WEB広告の仕事を始めたのは、この企業と仕事をしたいという想いだった。

 入社前から仕事の実績があるのを知っていたので今の会社に入った。

 書類を確認して、よし!と心の中で叫んだ。

 目の前にいる吉岡さんに「これ……」と呟く。

「そう、あんたが仕事したい企業。鳳凰は入社前からここの会社に憧れがあって、この仕事してるのは知ってたから。鳳凰に一任しようと思って、どう?」

 吉岡さんから思ってもみない提案に嬉しさと不安が混在する。

「……私、出来ますかね?」

 心配になって、思わず不安を吐露してしまった。

「なに言ってんの。鳳凰、これまで頑張ってきたんじゃない。奈田さんもそう思わない?」

 吉岡さんはデスクで仕事をしていた奈田さんに声をかけた。

「…うん、私も吉岡の意見に賛成だよ。鳳凰は鳳凰なりに頑張ってるのうちら入社前から知ってるしね。ミスしてもめげずにやってきた結果がこれなんだから。自信持って」

「奈田さん。ほら、みんなもそう思うよね」

全職員に吉岡さんは大きい声でみんなに聞いた。

「そう思います。鳳凰さんならできます。私のミスもカバーして、自分の仕事もしている鳳凰さんならできます」