プライベートで会った時は私服であったが、スーツでもあのクズさ加減は表に現れている。
「…聞きたいことってなに」
仕事中よりも冷え切った声に私自身も内心驚いた。
私は職場にだけには知られたくない。
仕事関係は絶対だ。
「鳳凰さん、彼氏できたんですか?」
私の顔色を見るために膝を屈んで、様子を窺ってきた。
「はぁ? 上司に向かってそれを聞くのはセクハラ案件なのは知ってるよね?」
私は本間くんに怒った。
鋭い目つきで私は威圧する。
「…本当は彼氏出来たんですよね。こないだたまたま見たんですよ、俺。駅で男が泣き叫んでいるのを鳳凰さんが慰めているところ。あれは、知り合い以上の関係じゃないと連れ出すなんて出来ないですよね」
本間くんは仕事以外は糞みたいな考え方をしている。
駅中心で泣いていた京極さんを責める訳ではない。
新人の本間くんに見られるなら助けなきゃよかったと後悔をしている。
「…はぁ、彼氏じゃない。ってか、私に構うんだったアプリの人と会えばいいじゃない。他に女の子いるんだから。質問には答えたから、また明日」
私は本間くんの目を逸らし、踵を踏み出して歩き始めた。

