クズにはクズのやり方で

 マスターは黙ったまま、他のお客のカクテルを作っていた。

「仲いい人とかに話すと引かれるし、分かってほしいとか思っている訳じゃないんですよ。ただ、こんな恋愛する奴もいるし、ああ、そういう風に考えるんだって思ってくれるだけでいいんですよ」

 ため息を吐いてから首を項垂れて、テーブルに額をつけた。

「鳳凰ちゃんは、恋愛は一日限定でいいんだよね。だったら、その逆の人はどうなの?」

「逆?」

「そう。恋愛だけは完璧で仕事がクズな人」

 そう言われてから、オーナーはニコッと微笑んでいた。

「オーナー! あははは。笑わせないでよ。オーナー、そんな奴いる?」

 私は大きい口を開けて、笑っていた。

「いない、いない! そんな奴いない、いない。いたら、オーナー、紹介してくれます? いたらだけどね……いない、いない!」

 カクテルをグビッと飲み干してから、あははとおかしくなったかのように笑った。

 オーナーは首を傾げ、目を丸くしていた。

「え? いるよ。鳳凰ちゃん。ここに」

 オーナーが指を指したその先を見た。

 後ろを振り返ると左方向にいたのは短髪の男性だった。

「え? なんであの人?」