クズにはクズのやり方で


「…はい。でも、俺鳳凰さんのこと暴きますから。それでは失礼致します」

 本間くんは立ち上がり、軽く礼をして帰った。

「………はぁ。暴くってなによ。もうっ!」

 頭を抱え込み、誰もいないことを見計らって足をダンと踏みしめた。

 これから、本間くんと関わることすら嫌になってきた。

 いつか私の恋愛クズぶりがバレるのを恐れた。

 ビビッていたら、仕事どころじゃなくなる。

 私しっかりして、先輩らしくいなくちゃ。

 よしと自分の顔を両手で叩きつけ、残っていた仕事を再開した。

 一時間ほど仕事をしてから、電話がかかってきた。

「はい」

 電話が出た相手は、吉岡さんだった。

「どうしたんですか。何かありました?」

「何もないんだけど……鳳凰さ…いや、今さ、どこにいると思う?」

 暗めなトーンで言うので何かあったのかと思いきや、いきなり声が高くなったので、飲みの誘いだと判断した。

「吉岡さん、今日は行けないですからね」

「そう言わずにさ。今から来てよ」

「だから、吉岡さん……」

 仕事を終えてから、私は駅にいた。

 声を発するのをやめて、何かを見据えた。