あまりにも本間くんが近くにいたので、のけぞり、本間くんと距離を離した。
「まぁ、仕事だからね。本間くんは帰るんだよね。お疲れ様」
私は仕事のねぎらいをしてから、書類に目を通そうと引き出しにあったファイルを手にしようとした。
その時、本間くんは私の椅子を回した。
目の前には、本間くんの顔があった。
膝をかがんで、私の目線の高さと同じにして向き合っていた。
「ど、どうしたの?」
私は目を丸くして、目の前にいる本間くんに声をかける。
「…いや、仕事の時は、しっかりしてるんですね」
なにを言ってるの、本間くん。
仕事の時はしっかりしてるって……まさか。
「どういう意味?」
「そのままです。プライベートもしっかりしてるんだろうなって。俺みたいなクズとは付き合わないんだろうなって」
仕事モードの時、仕事をこなす本間くんから急にプライベートの本間くんに切り替わっていた。
ニヤリと口角を上げて、私を上から見上げるように見据えていた。
「……付き合う・付き合わないとか本間くんには関係ないでしょ。仕事終わったなら帰って」
私は椅子の肘置きに本間くんの手があったので一気に離した。

