クズにはクズのやり方で

 私は何もなかったように冷静で大人の対応で乗り切った。

「……鳳凰さん。否定しないんですね。普通はこんなことありえないとか言うのに……もしかして、鳳凰さん。あれですか?」

 確信をついたかのように一歩私に近づき、見てくる。

「…あれとは?」

「…クズのことを理解してくれている感じですか?」

 クズのことを理解……私が本間くんと同じ恋愛クズだからと言える訳がない。

「まぁ、そういうことにしておくよ」

 私はこれ以上話していたら、本当に恋愛クズで同類だと思われてしまう。

 同じ職場で、しかも最近入ってきた新人くん。

 プライベートのことが分かられたら、新人を教える立場がなくなる。

「…そうですか。じゃあ、俺も帰ります。送りますよ」

「いや、いい。仕事で疲れてるから。プライベートのところ、鉢合わせてごめんね。じゃあ、お疲れ様」

 私は手を上げて苦笑いを浮かべた。

 とにかく、バレないように早々と家に向かった。

 はぁとため息を吐いてから、髪をかき分けた。

「同じ職場に同じ恋愛クズがいたとは……気を引き締めないとね」