クズにはクズのやり方で

 チャラチャラしたシルバーのネックレスにブレスレット。黒パンツに革のジャケットを羽織い、ワックスでまとめた髪をオールバックにしていた。

 職場とは大違いだ。

 好青年で真面目。

 整えられた前髪に、礼儀正しい。

 いつも見ている青年とは同じ人だとは思えない。

「…プライベートのことを口出すつもりはないけど…あの女の子傷ついてたみたいだけど
大丈夫なの?」

 私は空を見上げた本間くんに言葉をかける。

「ああ、大丈夫ですよ。さっきの女以外にも候補いるし」

「候補?」

「はい。何人もいるんで、別に女に困ってないので」

 悪気もなく、ズボンのポケットからスマホを取り出す。

「本間くんって、女性のことどう思ってんの。 好きな人作りたいとかないの?」

 職場の後輩にここまでプライベートのことを踏み込んではいけないが、本間くんの考え方を知りたいと思えた。

「いいなぁって子には声をかけて、ヤれるかどうかを聞きますよ。そこから決めます」

 これはもう確定だと思った。

 そう、私と同じで恋愛クズだ。

 それも、最低で最強のクズ野郎だ。

「そうなんだね。ゴメン。プライベートのこと踏み込んで聞いて。じゃあ」