クズにはクズのやり方で

 
 仕事を終えて、外は暗かったが電柱の光が差し込み、人がたくさんいた。

 見覚えがある人が目の間を通った。

 暗くて、一瞬分からなかった。

「ねぇねぇ、ここ行こうよ」

 女性の声がした。

 ああ、カップルかとふっと思って、通り過ぎようとした瞬間、男性の声が聞き覚えがあった。

 思わず、立ち止まった。

「ここらへんさ、職場近いからさ。ほら、あそこにいいところあるじゃん。そこ行こうよ」

 男性が差した方向は、隅っこにあるホテル街だった。

「えー、私好きとかまだ分かんないんだけど」

「じゃあ、行かない?」

 男性は満面な笑みで女性の手を握りしめていた。

 まだ付き合ってもないのに、そんなことするとはどこまでクズなのか。

 いや、人のこと言えないか。

 男と女の会話を聞いてから、足を踏み出そうとしたら、「あっ…」という声がした。

 その男性にバレてしまった。

 後ろに下がろうとしたら、その男性が声をかけてきた。

「鳳凰さん?」

 男性は私に指をさして、聞いてきた。

「…その声って……本間くん?」

 その男性は、まさかの新人の本間くんだった。

「…あ、はい」