クズにはクズのやり方で

　私は興味なさそうに返事をした。

　そっけない返事だったので、佐藤はつまらなさそうに唇を尖らせていた。

「本当、早く結婚していい人見つけたいなぁ」

　佐藤は手で髪をクルクルして、同じデスクにいる先輩に話しかけているのか独り言か分からないが、何かを話していたので奈田先輩が言葉を重ねる。

「…まぁ、結婚してもそれがゴールじゃないし、今の子は恋愛するのが当たり前とかの時代になっている気がするけど、恋愛や結婚は必須事項じゃないからね」

「えー、そう言いながら、奈田さんは結婚してるじゃないですか」

　佐藤は頬を膨らませて、奈田さんに言う。
「…それは私の人生に必要だったから。佐藤は何が大切か見極めないといけないからね」

　既婚者の奈田さんはいつも名言集が出てもいいんじゃないかなってレベルでいい言葉をくれる。

　私は奈田さんの名言を心の中で刻んでいる。

　奈田さんの言うように、今は恋愛や結婚は必須事項じゃないと思う。

　私は恋愛も結婚も興味がない。

　ただ楽しければいいと思っている。

　彼氏という名の関係は必要ない。

　一日だけの関係でいい。

　それで悲しむこともないのなら、なおさらだ。