クズにはクズのやり方で

 扉を開いたら、バーの中にはグラスを片手に持ち、俯いている京極さんがいた。

「京極さん」

 呼ぶと、京極さんは顔を上げた。

「鳳凰さん」

「また、落ち込んでるんですか? 事情は聞きました。んで、どうしたいんですか。京極さんは」

 私はカウンター席にあった椅子に鞄を置いて、京極さんの隣に座り込む。

「……僕もう恋愛クズ卒業ですよ。仕事も恋愛もダメになって、僕に残るものなんてない。もう何もかもなくなったんですよ。僕、桜ちゃんが浮気しているとは。なんで? 僕、なにかしました?」

 あの時の夜で泣いたバーで、以前にも増して泣きじゃくていた。

「…京極さん。別に恋愛できなくなったってよくないですか」

 泣きじゃくる京極さんに私は慰めの言葉を言う。

 今言ったとしても、伝わらないのは分かってる。

「僕は恋愛しかできない。仕事も出来ない。何もかも失ってしまったんです。鳳凰さんは仕事出来るしいいじゃないですか。僕はないんです。十年間積み上げてきたものがなくなった苦しみ分かりませんよね?」

 京極さんはいつもより激しめな口調で私に言い返す。