クズにはクズのやり方で

 ただ話を聞いてほしいだけなのは分かっている。

 行っても、私が打ちのめされるだけだ。

 一途に想っていた彼女のことを考えている京極さんを見ると、私は苦しくなる。

 自分が恋愛クズなのは理解はしているけど、キラキラとした恋愛をしている京極さんを見ると、学生時代を思い出す。

 儚くて淡い。純粋無垢な日々の学生時代。

 何もかもが初めてで楽しくて、その人のことを想うと、苦しくなる。

「……ふぅ…」

 だけど、あの日々がなかったことには出来ない。

 消えるはずもないあの日々は忘れることはできない。

 よし! と意気込みをしてから私は歩き始めた。

「お疲れさまでした」

 自分のデスクに置いてあったものを鞄に入れて、早々と帰宅した。

 職場の同僚や先輩はお疲れさまですと私の仕事を褒めたてるように微笑んでいた。

 私はバーに辿り着かなければならないといけないと思った。

 行かない選択肢もあった。

 私はそれを選ばなかった。

 地下鉄を乗り継いで、歩いてすぐのところにバーがあるのでそこに辿り着く。

 カランカランカランカラン