クズにはクズのやり方で


 吉岡さんは私の頭をポンポンと撫でた。

 私の隣に来て、本間くんの様子を窺っていた。

「はい。覚えも早くて、一日目だけではまだわかりませんが、これからもやっていけるかとは思います」

 私は今思っていることを吉岡さんに伝えた。

 本当に私が感じたことだった。

 仕事をするにあたって、素直さは大事だ。これから頑張ってもらいたい。

 私はそう思いながら、自分のデスクに戻り、自分の仕事を始めた。

 終業時間まであと二時間。

 それまで終わるかは微妙だけど、やれる所までやりたい。

 二時間後

 私はまだ職場にいた。

 自分の仕事が終わらない。

 今日入ってきた新人くんを帰らせないといけない。

「本間くん。もう終業時間だから、帰って」

 本間くんのデスクに私は行き、帰りを促す。

「え? まだやること残ってますし」

 キョトンとした顔で本間くんは子犬のように私を見つめる。

「今日来て、早々に残業するほどの会社じゃないから。まずは帰って、明日に備えて。じゃあ」

 目を見開いたまま本間くんは自分の手元を見てから私に目を向けた。