クズにはクズのやり方で

　周りの同僚は吉岡さんと私の会話を聞いていた。

　ああ、鳳凰さん忙しいし、やるとしたら他の人かな。

　うーん、でも、やるとしたら鳳凰さんしか適任いなくない？

　何でもできて、気遣いできる人鳳凰さんしかいなくない？

　と口々に言いたいことを言っていたが、私は気にしない。

「鳳凰。わかってる。あなたには負担ばかりかけてるわ。重々承知な上で頼んでるの。でも、本間くんと鳳凰はなんとなく合うと思うんだよね、なんとなくだけど」

　吉岡さんは本間くんと私を見合わせながら、どう？　と首を傾げて吉岡さんは聞いてきた。

「………っ……」

　吉岡さんからそう言われると、ぐうの音も出ない。

　なんとなく合うというのは分からないけど、いつもお世話になっている吉岡さんから言われると断れるはずがない。

「分かりました。なんとかやってみます」

「ありがとう。本当ありがとう。鳳凰」

　駆け足で私の元へ駆け寄り、抱きしめてきた。

「吉岡さん、苦しいです。わかりましたから。吉岡さん、放してください」

「ありがとう！　鳳凰。仕事の方は無理のない範囲で調整するから。お願いね！」