クズにはクズのやり方で


「えー、今日から新しく入りました。新人くんです」

 吉岡さんが新しく来た新人をみんなに紹介した。

「…初めまして。本間隼弥(ほんまじゅんや)です。えーと、初めての職場なのでよろしくお願いします」

 新しいスーツを買ったのだろう。

 皺のないジャケットに新人らしい青ネクタイ。

 きちんと前髪をワックスでまとめたのか、一つの寝ぐせもなく、アホ毛もない。

 今日から始まる職場生活に向けて、準備をしてきたのだろう。

 服装や見た目で分かる。

 今どきの子だな。

 最近、よく見る髪型だ。

 韓国人に憧れている人が多くなっている昨今。

 短髪で前髪も分けていて、ハイライトカラーも入れていた。

 若い。

 新人というだけで、こんなにも輝いているのか。

 何年前のことなので、見るだけで目を閉じたくなる。

 表面上は白目を向かないように、必死に我慢して、新人君のことを見た。

「えー。で、新人君の教育係は鳳凰だからね。よろしくね」

 吉岡さんは私を教育係に指名した。

 指名されたことに目を丸くして、私は立ちすくんでいた。

「…いや…吉岡さん。私、本当無理ですよ。わかってますよね。結構な案件抱えているの。無理ですよ」

 私はため息を吐いて、腕を組み訴えた。