クズにはクズのやり方で

 さっきまでのマイナス思考はいつの間にか消えていた。

「…京極さんって、マイナス思考なのかプラス思考なのかわかんないですよね。さっきまで、ずっーとブツブツと言っていたのに、今は水を与えたように元気ですよね」

「うん? 鳳凰さん、なんか言いました?」

 私の言葉が聞こえなかったのか、後ろを振り返り、首を傾げていた。

「なんでもないですよ。帰るんでしょ、彼女さんのところ! 私はこれで! じゃあ」

 私は先に行く京極さんに手を挙げて、駅方面へと向かった。

「鳳凰さん!」

 私が後ろを振り向こうと歩こうとした時に、京極さんに呼び止められた。

「なんですか?」

 私はふぅーとため息を吐き、京極さんは私を細い目をして微笑んでいた。

「ありがとうございます。鳳凰さんが僕の話聞いてくれたから。今僕こうしていられるんです。じゃあ」

 手を振って京極さんは足取り軽く、彼女の元へと戻った。

 私は京極さんの背中が見えなくなるまで、見送った。

 一日限定の彼氏との恋愛も仕事も完璧。

 京極さんにはそう見えている。

 だけど、私はまだ遠くかけ離れている自分に感じた。