「…すいません。鳳凰さんに聞いてもらって。鳳凰さんは、仕事はできて、恋愛もできるなんて完璧ですよね」
京極さんは顔を上げて、立っていた私と目を合わせる。
言っていることは嘘の欠片もなく、澄んでいる目だった。
「……私、前に言いましたよね。彼氏とは一日限定だし。仕事はできるけど、恋愛はあなたよりクズなのは分かってますよね。それを完璧っていうの」
私はあなたよりも世の中の恋愛定義とはかけ離れているんだよ。
それを完璧って、バカにしてんの。
「はい。分かってますよ、きちんと相手方と向き合ってるってことですよね」
「向き合っている」
京極さんの言葉を繰り返し口にする。
「そうです。一人ずつと向き合って、それから別れるけど。それはそれでいいんじゃないかと思いますけど」
私はまっすぐな恋愛をしている京極さんの言葉に唖然とした。
なんで否定的な言葉を出さないんだろうか。
この人は。
「鳳凰さん」
京極さんは私を呼ぶ。
「え? ああ、はい」
私は京極さんを見たまま、固まった。
「大丈夫ですか?」
「ああ、いや、はい。大丈夫です」
私は椅子に座り、返事をした。

