クズにはクズのやり方で

 家に帰り、録画していたドラマを一時停止して、一人で呟く。

 彼女は仕事が完璧だが、恋愛に関してはクズだ。

 一時停止していたドラマをリモコンを持ち、再生ボタンを押す。

「こんなキラキラした恋愛ないだろう、普通、ないない」

 彼女は今人気のラブコメドラマを観て、一口チョコをつまみ、口内の中に入れていた。

 壁ドンなどの胸きゅんシーンは最近のドラマは少なくて、リアルな恋愛を描いている。

 だが、普通の恋愛とは彼女はかけ離れている。

 男は一途に女を愛す。それか、今まで出会った中で魅力的な女だと男が言い、女も嫌々ながら好きになるオチだ。

「……はぁ、普通な恋愛ね……」

 彼女は普通な恋愛では満足いかない。

 特定の男は作らない主義だからだ。

 固定で彼氏がいるのは世の中の普通らしいが、彼女は普通ではない。

「……やっぱり、私もクズだよな」

 クズという自覚はある。

 コップの中に入っている梅酒を口につけて、グビッと飲み干す。

「……はぁ、まじやってらんないわ。仕事はできてんだからいいでしょ」

 彼女はベランダに行き、煙草を吸って、息を吐く。

 彼女の名前は鳳凰翠(ほうおうあき)。