クズにはクズのやり方で

「そうですね。今、考えれば私もまだ未熟だったなぁって。いろいろご迷惑をおかけしました」

 パワハラやモラハラで嫌になって、今の職場に転職した。

 また、変な人がいるのだろうと思い、びくびくしていた。

 先輩に話しかけられても、何かまた言ってくると思った。

 話はするが、自分から壁を作っていた。

 そんな私を見て、吉岡さんは言ってくれた。

 なに、そんな壁作ってんの。

 きちんと一人ひとりの言葉に耳を傾けなさい。

 と言われて、私は思わずハッとした。

 私、職員一人ひとりと向き合ってなかったのかと思い知らされた。

 パワハラやモラハラとかに敏感になりすぎて、自分を見失っていた。

 その頃の私は人に対して、疑問を抱かずにはいられなかった。

「そうだね。成長したわね。でも、まだまだよ。あなたにはもっと成長してくれないと困るんだから」

 テーブルにあったおつまみを口に入れてから、私を見て吉岡さんは微笑んだ。

「そうですね……」 

 吉岡さんから言われて、嬉しかった。

 もう私は三二歳。成長できることなんて、これ以上あるのだろうか。

 昇進も望んでいないし、今のままでなにを成長できるのか。