クズにはクズのやり方で

 お菓子コーナーに行き、チョコを見ていると、先ほどのカップルもいた。

 彼女と彼氏。

 恋愛で言えば、愛し合っている彼女と彼氏。

 理想であり、微笑ましいだろう。

 買い物かごをセルフレジに置き、バーコードを読み取り、今まで自分の恋愛してきたことを思い出す。

 まぁ、思い出さなくてもいいか…

 買い物かごに入っていたものを読み取り終わり、エコバックに入れて、店から出る。

「明日も仕事頑張ろう」

 外に出て、息を吸う。

 歩いていると、野良猫がニャーニャー鳴いていた。

 すると、誰かが声を掛けてきた。

「え? なんでこんなところいんの」

 後ろを振り返ると、男がいた。

 誰だっけ、こいつ。

 分かんない。頭の中で数々の男どもを蘇えさせるが、本当に分からない。

「………えーと、誰かと間違えてるんじゃ…」

 彼女は戸惑いながら、あいまいな返答をした。

「はぁ? 覚えてないのかよ。クズだな。チッ」

 舌打ちをして、男は去っていた。

 クズなのは、お互い様だろう。

 皆様、お気づきだろうか。

 彼女は恋愛に関してはクズだ。

「そう、それが私」