クズにはクズのやり方で

「…京ちゃんはいい男だよね。もう、ここは極楽だよ。料理を作って待ってくれる人がいて、優しく声を掛けてくれるなんて、私は幸せ者だよ。京ちゃん~」

 桜ちゃんは僕に寄りかかり、疲れているのかいつもは甘えてこない桜ちゃんが甘えてきた。

「僕もだよ。疲れたでしょ。ご飯出来てるから」

「京ちゃん! 最高! うぇーい」

「桜ちゃん。早く着替えてきて、ご飯にしよう」

「うん、着替えてくる!」

 僕は微笑んだ。

 桜ちゃんをベットに座らせてから、キッチンに戻った。

 エプロン姿の僕は手を洗い、IH コンロを付けて、作った料理を温める。

 いつも僕は定時に帰り、桜ちゃんの帰りを待つのが日課。

 仕事が出来なくても、彼女を待つことが僕の使命になっていた。

 桜ちゃんも嬉しそうにしてくれるし、僕もそれを見ているのが好きだ。

「おーし、食べるか!」

 腕まくりをして、桜ちゃんは笑顔で「頂きます」と言ってから、箸を持った。

 口に入れると、桜ちゃんはリスみたいに頬を膨らませながら、美味しいと言い、食べていた。