クズにはクズのやり方で

「あ、違う。違います! 鳳凰さんって、男女問わず、憧れの存在な気がして。そんな素敵な人が彼女なんて、幸せだなって」

 京極さんは心の底から嬉しそうに、私に笑いかけた。

「…憧れの存在って、私そんな感じだったんですか? まぁ、当たっているようで当たってないですけど」

 私はソファーの上で体育座りをして、縮こまった。

「…じゃあ、男女問わず、憧れの存在なのは確かだけど、なにが当たってないんですか?」

 思わず、京極さんは私に聞き返した。

「そんな…私、素敵じゃないですよ」

 テレビ画面を見つめたまま、弱気な発言をした。

 その返答に京極さんは無言だった。

「なにも言わないって、本当だからですよね?」

 何も返答がなく、固まっている京極さんに目を向ける。

 すると、京極さんが急に私との距離を詰めてきた。

 京極さんの顔が目の前にあった。

 そして、京極さんの手が私の顔に触れた。

「な、な…な…っ」

 私はあまりの動揺に言葉がうまく出ない。触れられるのは、流れみたいなものだった。

 今は触れるだけで、心臓の音が高くなる。

 顔も赤らみて、目を見開いている自分がいるのだろう。