クズにはクズのやり方で

 奈田さんには軽く手を上げて、返事をした。今の俺になった俺を浸りたい。

 今日だけでも、今の俺がいていいんだって、思いたい。

「今日だけ…許してよね。だから、京極さん、頑張れよ。よし」

 ガッツポーズをして、自分のデスクに戻った。

 一方で、私はお手洗いに行き、洗面所の鏡で自分を見た。

「…確かに、本間くんの言う通り。この顔じゃ、ダメだわ。はぁ」

 私は自分の顔を見て、ため息を吐いた。

 これじゃ、仕事もままならない。

「どうするか。今早めに提出する業務はないし、早退するか。うん、そうしよう」

 私は意を決して、気合いを入れるために自分の頬を両手で叩いた。

 吉岡さんに許可をもらって、早退することにした。

「お疲れさまでした」

 私は職員に挨拶をして、帰った。

 その時、本間くんはある人に連絡していた。

 エレベーターを待っていると、スマホが震えた。

 ジャケットの胸ポケットからスマホを取り出した。

 スマホの画面を見ると、京極さんからの電話だった。

 なんだろう。

 京極さんから連絡がくるのは、あれ以来。