クズにはクズのやり方で

 私は椅子から立ち上がり、デスクの中にあるポーチを手にした。

 その時、本間くんが私の手首を掴んだ。

「なに」

「鳳凰さんは素直になった方がいいと思います。京極さんはちゃんと受け止めてくれますから。大丈夫です」

 本間くんは真剣な眼差しで私に伝えた。

「…っありがとう」

 私が礼を言うと、掴んでいた手首が離れた。

 その瞬間、お手洗いに行った。

 その後ろ姿を本間くんは最後まで見届けた。

「これで…俺の想いは絶たれるかな」

 天井を見上げて、俺は思った。

 片思いって、こんなに苦しいんだってことを。

 俺は久しぶりに本気の恋をした。

 この悲しみを、どう扱おう。

 他の女の子と遊ぶのは違う。

「本間。なにそこで立ち止まって。なにしたの?」

 奈田さんは俺が立ち止まっているのを不思議に思い、尋ねてきた。

「…なんでもないです。ただ、今日は浸りたい気分ですかね」

「なにを浸りたいの?」

「なにを……、そうですね。俺にですかね」

 上目遣いで奈田さんに言い、「なにそれ」と笑い飛ばされた。

「…そうですよね。まぁ、頑張ります」