「マスター……話せましたよ」
「なに話したの?」
「ただ、話を聞いてくれました。あの方、そういえば、名前聞かなかったですけど、名前はなんて言うんですかね」
私は頬杖をついて、マスターに問い掛ける。
「……京極綾人(きょうごくあやと)くん。仕事ができないのは聞いたと思うけど、ほんとだと思うよ。話聞いた通り」
マスターはお客が来たので、笑顔で対応していた。
「ふーん……」
「んで、彼に興味持った?」
対応を終えたマスターは、ニヤッと口角を上げて聞いてきた。
「…マスター! 私が好きになると思います? ないない! 仕事できないとかないない」
私は手で左右に振り、グビッとカクテルを飲み干した。
バーを後にして、帰路につく。
今日は特に何もない一日だった。
もう恋愛のことは、誰かに認めてもらおうとも思わない。
だけど、今日会った京極綾人のように受け止めてくれる人がいればいいのにと思ってしまった。
そう思えた自分がいたことに私自身驚いている。
洗面所に行き、自分の顔を鏡で見る。
目の下にクマが深く刻み込まれていた。
ひとつため息を吐き、今日の自分を称えた。
「なに話したの?」
「ただ、話を聞いてくれました。あの方、そういえば、名前聞かなかったですけど、名前はなんて言うんですかね」
私は頬杖をついて、マスターに問い掛ける。
「……京極綾人(きょうごくあやと)くん。仕事ができないのは聞いたと思うけど、ほんとだと思うよ。話聞いた通り」
マスターはお客が来たので、笑顔で対応していた。
「ふーん……」
「んで、彼に興味持った?」
対応を終えたマスターは、ニヤッと口角を上げて聞いてきた。
「…マスター! 私が好きになると思います? ないない! 仕事できないとかないない」
私は手で左右に振り、グビッとカクテルを飲み干した。
バーを後にして、帰路につく。
今日は特に何もない一日だった。
もう恋愛のことは、誰かに認めてもらおうとも思わない。
だけど、今日会った京極綾人のように受け止めてくれる人がいればいいのにと思ってしまった。
そう思えた自分がいたことに私自身驚いている。
洗面所に行き、自分の顔を鏡で見る。
目の下にクマが深く刻み込まれていた。
ひとつため息を吐き、今日の自分を称えた。

