クズにはクズのやり方で

 短髪男性が言うことは、彼女からしたら嬉しい。

 好きでいてくれるんだ。

 こんな私でもいてくれるんだ

と思わせてくれるイイ彼氏だ。

 仕事ができない分、プライベートではプラスになっているのか。

 私とは真逆なタイプだ。

「当たり前か……そうなっていたのかな。仕事ができない分、彼女に愛情を注いでいるつもりだったのかな」

 短髪男性は下を向いて、あられを数秒見て、また口に含んだ。

「…羨ましいです。私は反対なので…仕事は出来て、恋愛はクズで。そういう人がいるから恋愛が成り立つし、結婚まで行くのかなって思いますね。あなたを見ていると、そう感じます」

 私は目の前にいる短髪男性に目を向けてから、今まで会った男性を思い出す。

 ただ性欲を埋めたい人、変なプレイをしたがる人、価値観を押し付ける人、好きでしょと初対面で言う人などいろんな人がいた。

 そんな人を見てきたせいか、こんなにも優しい言葉をかける人がいるなんて。

 仕事ができなくても、プライベートが充実しているならいいんじゃないのか。

 どちらかクズでも幸せならそれでいいのではと思えてきた。