「分かってるよ! 隼也が私をどれだけ好きなか。でも、好きの形はそれぞれ違うの。私は多分、愛の形はこのスーツケースよりも少ない、小さい鞄くらいが精一杯なの。でも、隼也はスーツケース分の愛を持っている。それはいいことだし、素敵だと思う! 私はその愛の形が重いの。じゃあ、私は行くね。さようなら」
彼女は外靴を履き、俺の方を振り向かず去った。
彼女は俺のところよりも、自分の愛の形が一緒な人と過ごすことを選んだ。
彼女はもう、前に進んでいた。
*
「なんでだよ。だから、もう愛さないって決めたのに。なんで、気になるかな。あああ」
俺は鳳凰さんとセックスをしたいのは本当だ。
でも、恋人にしたいのかと聞かれると、よく分からない。
同じ恋愛クズ同士で分かち合えることがあるのではないかと思ったのは本音。
あと、気になっているのも事実。
それでも、スーツケースほどの愛を持つ重さよりも軽い小さい鞄の方が今の俺らしい。
鳳凰さんにも嫌われてるし。
だけど、俺は鳳凰さんのことが……いやいや、ない。
「本当にないわ。うん、ない」

