クズにはクズのやり方で

「だから、僕を頼ってください。でも、仕事クズですけどね。僕を利用してもいいですし」

 京極さんは眼鏡をくいッと上げてから、微笑んだ。

 京極さんの言う通りだ。

 仕事クズだからこそ、恋愛に対してはピカイチだ。

 十年も彼女と寄り添ってきた天才だ。

 私にはない、恋愛の考え方。

 協力すれば、本間くんもなにか考えが変わるのではないだろうか。

「……そうですね。京極さんには迷惑ばかりかけられましたし。よろしくお願い致します」

 私は冗談交じりに皮肉を言い、握手を求めた。

「…アハハ。そうですよね。では、お願い致します」

 京極さんは私の手を握り、口角を上げた。

「久しぶりに、いつものバー行きましょうよ。なにか話したいことありそうな気がしたんですけど、どうですか?」

「あ、バレました。話したいことあるんですよ。行きましょう。鳳凰さんの話も聞きますから」

「本当ですか?」

「本当ですから」

 私と京極さんは冗談を言い合いながら、いつものバーへと向かった。

 これが、二人の関係値を変えていくきっかけとなっていく。

 お互い、まだ気づいていない。

 正反対だからこそ、補える要素が二人にあることを。

 なにもかも嫌なところを見せてきた二人が恋愛の“好き〟になるまでには、時間がかかりそう。