クズにはクズのやり方で

 短髪男性はため息交じりに息を吐いていた。

「私はこういう人間なのに世の中には否定されて、友達にも嫌な雰囲気が出されるし、私は何も変なことしてないのに。自分が世の中に取り残されている気がして」

 私は短髪男性に話をしながら、自分自身に問いかけている気持ちになった。

「……取り残されているのは嫌ですね。嫌なものを見た時って、自分がこれが嫌だって目に見えて分かりますよね。これが嫌だったんだって思い知らされる。そこからは逃げられないのが現実ですよね」

 短髪男性は否定も肯定もせずに、嫌なことに対しての言葉を突き詰めるように言っていた。

 人とコミュニケーションをする時は聞き手や話し手の二者だ。

 話し手が好きな人もいれば、聞き手に徹する人もいる。

 様々な話し方や仕草をして、その人を見抜く。

 短髪男性は話し手ではなく、聞き手に回る人だと思う。

 聞き手や話し手の真ん中にいる人だとも感じる。

 初めて会ったばかりなのにそう感じてしまうのは短髪男性が纏っている空気なのか素質なのか、こちらがもっと話していいんだと思わされる。

「……そこから逃げられない……逃げたくても逃げられないですよね」