クズにはクズのやり方で

 その時、話している間に頼んだコーヒー二つを店員が持ってきた。

「お待たせしました。コーヒー二つになります。なにかありましたら、お呼び下さい。失礼致します」

 店員に私たちの会話が聞こえただろうか。

 まぁ、聞かれても問題はないか。

 置かれたコーヒーを私は一口飲んで、本間くんの質問に答える。

「私は、お試しでもやらない。本間くんは、誘う相手にいつもそうなの?」

 また一口飲み、一気に飲み干した。

 苦くて甘さのないコーヒーは、今の状況と似ている。

 大人になったら、甘く淡いものはごく少数だ。苦いものを噛みしめて、我慢してやり過ごさないといけない。

 うーんと天井を見上げて、本間くんは腕を組む。

「いや、いつもではないですよ。まぁ、ワンナインは何回かあるけど。本人に確かめるのは久しぶりですよ。だから、貴重なんですよ、鳳凰さん。俺が、ちゃんと誘うのは」

 当たり前のようにぺらぺらと噛むことなく、本間くんは楽しそうに言う。

 恋愛クズ脳である本間くんは、一般論の恋愛とはかけ離れている。

 本人に同意なしでやるとか、クズしかない。