クズにはクズのやり方で

「僕が教えたんだよ」

「オーナー。なんで」

「この子、鳳凰ちゃんっていうんだけど、恋愛でいろいろあったみたいで聞いてくれる?」

 オーナーは優しい物腰で私の肩にポンッと置いてからキッチンに戻っていた。

「……とりあえず、ここ座ります?」

 短髪男性はゆったりとした声で私に言う。

 向かい側の椅子が空いていたので、右手で「ここに座って下さい」と促された。

「はい……」 

 自分の鞄を両手で持ち、短髪男性の前に座る。

 私は勢いで短髪男性に声を掛けたが、何も考えてなかった。

 何を話すのか何をこの人と話したらいいのかさっぱり分からないまま、同じテーブルで向い合わせに座る。

 座ったものの、沈黙が続いた。

 少し気まずさはあったが、苦痛ではなかった。

 このまま話さなくても、これでいいかなと思っていた時だった。

 短髪男性はためらいながらも、口を開いた。

「あの……恋愛で何かあったんですか」

 マスターが言っていたことを気にしてくれたのか私に質問してきた。

「……はい……私、恋愛クズなんです。恋愛は特定の人じゃなくていいんです。一夜限りの人? 彼氏? とかで充分な人なんです」

「はぁ……」