王子様を助けたら子供を授かり溺愛されてどこまでも追いかけてくる件

サオリーナは、転生前の川辺沙織としての人生を懐かしく思う事はあっても、そこに戻りたいとは思わなかった。

両親には高校卒業までは面倒は見てやるがその後は自分で働いて生活するようにと子供の頃から言われていた。

沙織は両親がなかなか子供に恵まれなくて遠い親戚から養子としてもらわれてきたのだ。それを知ったのは中学生の時だった。

沙織が小学校2年生になった時に両親は息子を授かった。

戸籍上沙織の弟となるその子が生まれると目に見えて沙織を邪険にし始めた。

体罰を与えられることは無かったが学校の授業参観や運動会などにも来なくなったし家の中でも無視されることが多かった。

中学生になって戸籍を調べてみて自分が養子であると知ったのだ。それで両親の手のひら返しのような扱いが腑に落ちたのだった。

だから高校生になると土日はバイトでしっかり働いて夏休みなど長い休みにも毎日バイトにでて、なるべく家にいないようにした。

そうしてお金を貯めていった。成績は良かったので大学は返済不要の奨学金を受けて入学した。

成績が落ちるとその枠からは外されてしまうので、大学生になっても必死に勉強しながら生活の為に働いた。

高校生の時にバイトで貯めたお金で学生用の小さな部屋を借りた。大学の斡旋でのマンションだったので、保証金や保証人なども不要だった。

両親は邪魔者が出て行ったので、ほっとしているようだった。

そして自分の希望通りに大手食品メーカーに就職することができた。

高校卒業後に家を出てからは両親の住む家に帰ったことは無かった。

二人は沙織がどこの大学に行ってどんな会社に就職したかもきっと知らないだろう。

仕事に関しては少し心残りもあったが、この異世界でマリス爺ちゃんとリコーニ婆ちゃんに愛されて家族になれて幸せだったからサオリーナとして生きている今がとても充実している。