王子様を助けたら子供を授かり溺愛されてどこまでも追いかけてくる件

その時突然“かあしゃま”という子供の声がした。

サオリーナはびくっとして声のした方を振り向いている。

ルカは調剤室らしいドアの横に策で囲ってあるスペースがあるのに気づいた。

その中の赤ちゃん用の小さなベットに、今まで眠っていたのだろう少しボーとしてもう一度“かあしゃま”と呼ぶ1歳くらいの男の子の姿を見つけた。

ルカより遅れて駆け付けたヨンもその子に気付く。そしてその顔を見ると二人とも息を止めた。

サオリーナはベットに近づいてその子を抱き上げた。

「ルーカス“こんにちは“できる?」

「うん」と元気よく答えると 「ちわ」と言って可愛く頭を下げた。

「もう、笑っちゃうぐらいルカにそっくりでしょう?金髪に青い目に右目の下のほくろ迄一緒なんて、言い逃れはできないわね。ルーカスって名付けたの。ルカの名前を貰ったわ。よかったら、抱いてあげて」

「いいのか?」と今にも泣きそうな震える声でルカが尋ねた。

「もちろんよ。ルカが父親になるつもりがあるならね」

「ないわけない」

ルカはゆっくり二人に近づいて行った。

サオリーナは、ルーカスに

「ルーカス、あなたのお父様よ」といった。

「かあしゃま?」とルーカス

「いいえ、とう様よ」

まだルーカスは言葉がうまくしゃべれない。

サオリーナの事は“かあしゃま”と言いマリアの事は“まあ”という。

あとは、まんまくらいしかはっきりとしゃべれないが、本人は一生懸命何かをしゃべっているつもりなのだろうが、まだ拙くて判読が難しい言葉もあるのだ。でもそんな所も可愛い。

ルカはそっと優しくルーカスを抱き上げた。頬ずりするとキャッキャと笑って身を捩っている。

ルカはルーカスのわきの下に手を入れて、高く持ち上げてやった。そしてくるっと一周した。

ルーカスは普段そんなに高い所から皆を見下ろすことがないので、すっかりその高さを気に入ったのかルーカスはルカに“たあ~い、たあ~い”と言って何度も何度もねだっていた。

そして今は肩車をしてもらってご満悦だ。

サオリーナやマリアでは決してやってやれない事だ、ルーカスは男の子なのだとつくづく思った。

男の子だから王家に知られてはいけないとそう思って逃げてきたのだ。ルカに王家に見つかってはいけないと…