王子様を助けたら子供を授かり溺愛されてどこまでも追いかけてくる件

ルカはヨンの制止を振り切って駆けだした。「マリア」と叫びながら…

マリアは自分の名前を呼ぶ方に目を向けた。懐かしいルカが必死の形相で走ってきている。「ルカ」と呟くと固まってしまった。

「マリア、ずっと探していたんだ。リーナは、リーナは元気にしている?会いたいよ」

震える声でそういうルカをじっと見つめて

「ルカ、遅かったわね。もうリーナの事忘れてしまったのかと思っていたわ。一年半よ。何してたのよ」

「ごめん。忘れる訳がないよ。でもなかなか見つけられなかった。見当違いの所ばかり探していたんだ。シャリの木っていう名前の薬屋なんだね」

「そうよ。リーナにとってとてもいい思い出のある木なんだって、ちょっと変じゃないって言ったのにどうしてもその名前にするって言って、きっとルカとの思い出でしょう?」

”うん”そう言って頷くと少し懐かしそうな嬉しそうな顔をしてルカが呟いた”シャリの木か…”

「マリア、リーナはどこにいる?すぐに連れて行ってくれるよね?もう待てないよ」

「1年半もほっといてもう少し位待てるでしょう?役所の皆さんに頼まれたものがいっぱいあって、それを届けないと帰れないの」

“じゃあ場所を教えて”とルカが言うので、簡単な地図を書いて渡した。

”歩いて20分位よ”と言ったがきっとルカは走っていくだろうから、10分以内には着くだろうとマリアはルカの焦った顔を見て思った。

「私はここの用事が終わったらすぐに帰るから、リーナに何を言われても引いてはだめよ。もうリーナを離しちゃだめよ」

そして“頑張って”と言うと、手を振って行ってしまった。

ルカは地図を見ながら脱兎のごとく駆けだした。ヨンが後ろから”殿下、殿下“と呼んでいるが構ってはいられない。

ルカはマリアの地図を見ながら商店が並ぶ一角迄走ってきた。”シャリの木“はすぐに見つかった。結構大きな店構えだ。

ルカは息を整えて、店に入って行った。店には一人客がいてサオリーナが相手をしていた。

ルカは1年半ぶりに見るサオリーナから目が離せない。

ちょっと大人っぽくなって色っぽくなったと思う。髪も伸びたのだろう後ろの高い位置で一つに括っている。

白いうなじが丸見えでルカは気が気ではなかった。今の客もサオリーナのうなじを見ている気がして、焦るルカだった。

客がお金を払って店を出て行った。