王子様を助けたら子供を授かり溺愛されてどこまでも追いかけてくる件

あの日大きな木の下で殿下を見つけた時ヨンは悟ったのだ。殿下にとってサオリーナ様は生きる希望だったのだ。

激昂する殿下に殺されなかったのは運がよかったのだ。

国王に話を聞いてもらうために殿下は食事をとらず命を懸けて抗議したのだ。

殿下が戻ってから国王は最初の日に生きていてくれてよかったと殿下を抱きしめてはいたが、その後は軟禁状態だったのだ。

そして、高位貴族の令嬢を薦めるばかりで、最後には騙すようにして無理やり会わせようと画策されていた。

サオリーナ様の所に返してくれと言うばかりでとうとう逃げ出した殿下に、国王はひどく腹を立てていた。

傷心の殿下を見舞う事もなく会おうとしなかった。その為に殿下は命を懸けて国王に物申したのだ。

だからヨンも殿下に準じたのだ。臣下の者が主に準するのは当然だ。

ヨンもまた命を懸けて国王に無言の圧をかけていたのだ。

そうして国王が折れた。今日やっと話し合いができたようだ。

国王はたぶん最初から第2王子殿下を王太子にと思っていたのではないかとヨンは思っている。

第1王子はその器ではなかった。全てにおいてルカ殿下に敵う事がなかったのだ。

でも殿下が補佐されるならそれで何とかなるだろうと国王は考えたのだろう。

それなのにまさか第3王子の刺客がルカ殿下を狙うとは我々も完全にスキを突かれたのだ。

殿下は決して剣においても引けは取らない。それなのに駆けつけた時には崖から落ちてしまわれた後だった。

刺客は取り押さえたが、それが第3王子の手の者だと分かって唖然とした。

部下が崖下の川に飛び込んでいったが殿下を見つけることはできなかった。