王子様を助けたら子供を授かり溺愛されてどこまでも追いかけてくる件

ジョージアはそう言うとヨンを見つめた。

「サオリーナ様は殿下から連絡もないし令嬢との婚姻も勧められていると知っていらして、ここにいると王家も目障りだろうから消えてあげるから、お店を引き継げる人を探して来てと私に命じられました。それで今の人を紹介したのです。彼の提示した金額は少し低いように思ったので私がお金を上乗せして、サオリーナ様が早急に決断できるようにしました」

ルカは剣を放り投げて、何も言わずヨンを殴りつけた。ヨンは倒れてもすぐに立ち上がり何度も何度も殴られて、口や鼻から血を流しながらもルカの前に立ち続けた。

部下の騎士達は皆見て居られなくて頭を地面にこすりつけて

「殿下、どうかお許しください」

と言って慟哭していた。

ルカも殴った手から血を流していた。手だけでなく心の中でも血を流していたのだ。

ルカが諦めて膝をついてもヨンはしっかりと真っすぐ立っていた。

「リーナはどこに行ったんだ」

「隣の州の州都にでも行くと言われましたが、その朝早く雇われた馬車は港まで行っただけです。隣の州なら反対方向です。多分それは嘘だと思います。あの方は徹底的に身を隠す覚悟で去って行かれたのだと思います」

「リーナ」と呟くとルカは絶望して意識を無くした。

次に目が覚めたのは王宮の自分の部屋だった。ルカはその日から一歩も外には出ず食事も一切食べなかった。かろうじて水のみ摂取した。

その日から5日が経つ頃にはもう立つ事もできなくなっていた。実はヨンもルカの部屋の前で同じように食事を断っていたのだ。

彼ももう立ち上がる事ができなくて座り込んだまま剣を抱きしめて首を垂れていた。

国王は根負けした大事な息子と忠義の騎士を失うわけにいかなかったのだ。

ルカの部屋のドアを蹴破り入った国王は痩せこけて目を閉じてベッドに横たわる息子に

「ルカ、お前の想いはよくわかった。きちんと話をしよう。でもそんな起き上がれもしない状態では話もできないだろう。食事をして声が出るようになったら話に来い。ヨンもお前が食べるまではと同じように食事を抜いてドアの前で座り続けておる。死んだらお前の大切な彼女には二度と会えなくなるのだぞ。儂は愛する息子と忠義の騎士を無くすわけにはいかん。わかったな、ルカ」

ルカは目を開けてぎゅっと目をつむってわかったと言う意思を伝えた。

すぐに医師が呼ばれて、スープの汁から飲み始めるように医者の細かい指示が侍従に伝えられた。ヨンにも同じように措置がされた。

そうして3日後何とか起きて話しができるようなったルカは、父王と母上に会いに行った。