王子様を助けたら子供を授かり溺愛されてどこまでも追いかけてくる件

正門からは出られないだろうと思い一番見張りの少ない西門から森に入って逃げるつもりだった。

しかしすでにすべての門には騎士が10人ほど配置されていた。ルカは西門を守る騎士に

「そこをどけ、今気がたっているんだ。いう事を聞かなければ、そなたたちを切り伏せても通してもらう」

「殿下、どうかお戻りください。お願いします」

そういう騎士たちを剣で脅しつつ、大きく跳躍すると塀の上に手をついてそのまま乗り越えて素早く走って、森の中に逃げ込んだ。

オルカイ帝国に行くには船が一番早いのだ。しかし港はすぐに見張られることになるだろう。

だからルカは森に入り弟がさし向けた暗殺者に背中を切られて川に落ちた崖から飛び込んで、大きな川を下ってフォブル村への支流に入っていくつもりなのだ。

支流に別れるところはサオリーナが教えてくれた。飛び降りるときにしがみつける木の枝があればそれにしがみついて川を下れるはずだ。

ルカは森に隠れて暗くなるまで待った。お金も持ってきたのでこの前のように何も持たないわけではないから途中で何かあっても切り抜ける自信がある。

サオリーナに会いたいその一念だった。

あれからもう3ケ月は経った。今は11月初め何とか川を下れるだろうと、ルカははやる気持ちを抑えて森に隠れていた。

今夜は満月だ。月がルカの味方をしていてくれるようだ。月の光がルカを導いてくれている。

すっかり暗くなったのでルカは崖の上から川に飛び込んだ。腕にはしっかりと丸太を抱えて…

前回は背中を切られてその痛みと闘いながら、何とか流れていた木の枝につかまり、痛みで気を失いおぼれてしまわないように必死だった。

今はこの川を流れて行ってサオリーナに教えて貰ったフォブル村への支流に入る目印を見過ごさないようにしなければならない。

そうして次の日の早朝に支流からフォブル村の方に入って行って、浅瀬から陸に上がった。ずぶぬれだった。