王子様を助けたら子供を授かり溺愛されてどこまでも追いかけてくる件

産婆が帰った後、マリアと二人で赤ん坊を眺めていた。乳を飲んで今は満足して眠っている。

「本当にきれいな赤ちゃん。ルカの色を引き継いだんですね。おまけに右目の下にほくろまで…これでは父親がだれかなんてルカを知ってる人には一目瞭然じゃないですか」

「そうね、男の子だしやっぱり王都に逃げて来て正解よね。この子の事が王家に知られたら取り上げられちゃうかも、それとも亡き者にされるかも…こんなに美しくてかわいい子なのに、きっと母さんが守って見せるわ。私の宝物よ」

「私達の宝物って言ってくださいよ。命に代えてもこの子は守り抜きます」

「ありがとうマリア、マリアがいてくれてどんなに心強いか感謝しかないわ。私達の宝物二人で守っていきましょうね」

二人は両側からぷにぷにと柔らかい赤ん坊の頬をつつきながら涙目で見つめあった。

赤ん坊はルーカスと名付けられた。

役所にも届を出して、正式にサオリーナはルーカスの母親になった。その時にマリアをサオリーナの妹として届を出して受理してもらえた。

「ルーカスは私の甥っ子になるんですね。嬉しい!私にも家族ができた」

「その前に私の妹になったことを喜んでくれなくっちゃ、そっちが先なのよ。私の妹になったからルーカスの叔母さんになったのよ。叔母さんよろしくね」

そう言うとルーカスがにこっと微笑んだ。その微笑みがあまりに気高く美しく可愛くてまた二人でメロメロになってしまった。

日に何度もルーカスは二人をメロメロにしてしまうのだ。やはり産婆の言っていた通りに大きくなったら女の子に追っかけまわされるかもしれない。

店は結局1週間休んだだけで再開した。ルーカスはとてもいい子で店の中に作ったルーカスの場所で眠りベットで一人遊んでお腹減った時やおむつが濡れた時くらいしかぐずったりしなかった。

マリアはやはり赤ちゃんを扱うのがうまい。おしめもお風呂に入れるのもさっさと済ませてしまう。どっちが母親かわからない程だ。

マリアと二人でルーカスを育てながら、薬屋も営んでいる。閉店時間を4時にした。

今までは6時まで開けていたがルーカスをお風呂に入れたり自分たちの食事を作ったりするのも慌ただしいので、当分4時閉店にしたのだ。

薬屋は相変わらず盛況で特に女性のスキンケア用品やヘヤケア用品にラベンダーの香水と百合から作るホワイトリリーと名付けた香水が大人気なのだ。

香水の香油やエタノールは問屋で簡単に手に入るのに今まで香水がなかったのが不思議だ。

上流階級では他国の香水が色々出回っているそうなので、サオリーナは庶民が気兼ねなく使えるような値段で売っている。

ただ薬の調剤室と香水の調香室はいっしょに使えないので香水は家の中でマリアが作るようにしている。

だからだろういつもサオリーナとマリアは良い匂いがするとよく言われるのだ。

マリアも調香は大好きなようなので調香はマリアにもやってもらっている。

新しい香水を考えていいと言っているのでマリアは香水作りを楽しんでいるようだ。

三人の生活はルーカスが生後3か月になる頃には、無理なく余裕を持って暮らせるようになった。